2024年11月20日水曜日

八代信義先生

札幌医科大学を卒業した後、約30年間心療内科の診療を続けています。 、 心労・過労に伴って生じた心・身の不調、特に摂食障害、恐慌性障害、不安・抑うつ状態の診療の機会が多く、日常的な診療は「穏やかな診療」、十分に訴えを聴く、診察や必要な検査を行い、説明することを大切にしています。 、 日本心身医学科認定医 日本心身医学科研修指導医 、 定年退職にあたって 、  開院以来、過去27年間の札幌明和病院の歩みを知る数少ない職員の一人として,印象深い幾つかの挿話を書き留めてみます。 、  大学卒業後、その大半を当院に勤めてきた小生にとって、多くの方々から授けられた教えは、時に乱調を来たす事があっても、脈々と打ち続く鼓動として感じます。  昭和56年に当院が開設された当初から、奥深い瀬の様な心療内科の診療は「日々、基本に誠実であれ」と諭していたと受け止めています。 、「患者の遺訓」  心療内科を専門とした当院にあっても、開院当初の診療状況は暗中模索、試行錯誤の連続でした。特に、栄養不良の著しい摂食障害で餓死された患者さんからは、多くの貴重な術を教わりました。同様の状態にある患者さんに接して、今では標準的な治療法となった血清アルブミン療法、凍結人血漿療法、在宅中心静脈栄養法を救命的、予防的に行う度に,患者さんから遺訓を託された思いを新たにさせられます。 、  「恩師の一言」 、  小生が、副院長として診療体制の標準化を進めるにあたって、手探り状態にあった頃、恩師に直接質問する機会がありました。「先生、標準化とは何でしょうか?」。 、 言下に返って来た一言「君、それは無駄の無い事だよ」。 、 それでは「先生、正常化とは?」と問うた 一呼吸後に「それは愛だよ」とにこやかに答えてくれました。 、 「最後に、患者さんの自由度とは?」と伺って暫くした後「うーん、我が儘では無い事だよ」 、 と小生を見据えて呟いた事を思い出します。一閃の言葉に直接指導が及ぼす以心伝心の凄さを感じました。 、  「医療職員との触発」  開院当初、心身症の定式化された系統的治療法は無く、特に、難治例の病態や心理特性の把握、適切な看護治療の為に,各臨床部門との共同研究は必須条件と考えていました。 看護部とは心身医学的看護治療、臨床心理科とは難治例に対する系統的心理療法の導入、臨床検査科とは臨床検査の有用性を主題とした臨床研究を積み重ねて来ました。 更に、心身医学や心療内科の独自性や各臨床部門との共通基盤を想定して、脳の局在と相互関係の視点から、神経内分泌学的研究にも取り組みました。これらの相互補完的な研究の中で、医学博士論文と国際学会での発表は当院の付加価値になればと願っていました。 、  最後になりましたが、本年10月22日の定年退職にあたって、多くの教訓を与えて下さいました患者さん,大きな自由度を受け容れて下さいました故奥瀬哲前院長、職員の自助努力を尊重して下さいました故氏原一則元事務部長および様々な理解と協力を頂いた職員に深く感謝を捧げます。 心療内科副院長:八代 信義 退職時の記録を書かせて頂きました。 福岡が 終の棲家と伺い 2度とお会いできないこと承知で ここで お別れ申し上げます。 どうかお元気でいてください。 私は持前の強がりで生きていきます。 ほうれん草は赤いところが好きになりました。 そんな難しいことが楽しい思い出です。 そんな 難しい事が思い出の宝です。 どうか お元気で。

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